
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々に磨り減り、関節の変形や痛み、可動域制限が生じる疾患です。国内外の診療ガイドライン(OARSI:国際変形性関節症学会、AAOS:米国整形外科学会、日本整形外科学会など)において、保存療法(運動療法・手技・生活指導)の有効性について強固なエビデンスが示されています。
1. 保存療法(運動療法・施術)は第一選択(First Line)
国際ガイドライン(OARSI等)では、進行期や激痛期で手術適応となるケースを除き、「運動療法や理学療法をはじめとする保存療法を第一選択として実施すること」が強い根拠(Core Treatment)として推奨されています。
手術の回避・延期:適切な保存療法とアプローチを継続することで、痛みの軽減・歩行能力の維持が可能となり、将来的な人工関節置換術を回避または遅らせることができると報告されています。
2. 「中臀筋(お尻の横の筋肉)」と「股関節周囲筋」の機能向上
股関節は体重を支える最大の荷重関節であり、周囲の筋肉のサポートが不可欠です。
中臀筋・外転筋群の強化:歩行時に骨盤を水平に保つ「中臀筋(ちゅうでんきん)」の働きを高めることで、股関節臼蓋(受け皿)にかかる集中的な負担を緩和します。
臀筋群・大腿部の連動:お尻全体の筋肉や太ももの筋肉をバランスよく鍛えることが、歩行時の痛み軽減に直接的な効果をもたらす(強力な推奨)と結論付けられています。
3. 関節可動域(屈曲・伸展・外旋)の改善と手技療法
股関節周囲の筋肉(腸腰筋、内転筋群、臀筋群など)の緊張や縮み(拘縮)は、股関節内の圧力を高めて痛みを悪化させます。
手技(徒手アプローチ)の有効性:筋緊張の緩和や関節包のストレッチ、骨盤・股関節の適切なアライメント(位置関係)の調整を行うことで、関節の引っかかり感や可動域制限を改善し、運動療法の効果を高めることが示されています。
4. 体重管理と水中・自重での低負荷アプローチ
股関節にかかる負担は、歩行時で体重の約3〜4倍と言われています。
低負荷での運動:股関節への直接的な圧迫ストレスを避けつつ筋力を維持するため、自重での適切なエクササイズや、水中ウォーキングなどの低負荷トレーニングを段階的に導入することが推奨されています
「参照:『変形性股関節症診療ガイドライン(日本整形外科学会)』『OARSI(国際変形性関節症学会)ガイドライン』



