「子供(乳幼児)の手がぬける」というのは、いわゆる 肘内障(ちゅうないしょう)です。
簡単に言うと 肘関節の一部(橈骨頭)が亜脱臼した状態です
🧠 どんな状態?
- 構造的には、前腕の骨のひとつ、橈骨(とうこつ)の先端部分(橈骨頭)が、本来の位置からずれて関節外に少し抜けた状態です(完全に外れる脱臼ではなく「亜脱臼」)。
- 対象年齢は主に0.5~5 歳頃で、特に2~3 歳がピーク。6歳を超えるとほとんど起こりません。
⚠️ どうして起こるの?
- 転倒して手をついたとき。
- 大人が子供の手や腕を強く引っ張ったとき(例:手をつないで急いで歩かせる、外套の腕通しで引っ張る、腕を回して遊ぶなど)。
特に腕を伸ばした状態で強い引っ張りが加わると起こりやすいです。 - 後ろ向きに服の袖を通すときなどでも発生することがあります。
🚨 症状は?
- 突然泣き出し、肘と手首から肩にかけて痛がることが多い。
- 腕をぶらーんと垂らしたまま動かさず、肘は軽く曲がって身体に近づいている姿勢。
- 手のひらを内側(手首を返す動き)ができない。また、手を動かすのを拒否します。
- 腫れや変形、強いしびれ、皮膚の変色がなければ骨折の可能性は低く、肘内障の可能性が高いです。
🩺 どう治すの?
- 徒手整復(手で戻す)が一般的。整形外科や小児科で受けると、医師が前腕を回内法(手のひら下向きに回す)や回外法(手のひら上向き+肘を曲げる)で軽く操作し、ぽきっと関節を戻します。
- 数秒から数十秒で済み、「コリッ」や「ポキッ」というクリック音とともに痛みは瞬時に消失し、子どももすぐ腕を使い始めます。
- レントゲン検査は通常不要ですが、腫れや受傷状況により骨折の可能性がある場合、確認のため撮影されることがあります。
- 整復後は、三角巾などで軽く固定することもありますが、基本的にはすぐに動かせます。
⏱ 回復までの時間
- 一度整復が成功すれば、数分以内に痛みが消え、普通に腕を使い始めることがほとんどです
- 永続的な障害を残すことは通常なく、処置は非常に安全かつ効果的です。
🔁 再発しやすい?
- はい、再発しやすく、特に治療後2〜3週間は再発リスクが高く、その後しばらく続くこともあります。
- 0〜3歳がもっとも起こりやすく、6歳を過ぎればほとんど起こりません。
✅ 親ができること・注意点
- 受診のタイミングは早めに:突然腕を使わなくなったら自己判断せず、整形外科または接骨院へ。
- 応急処置として:痛がる腕を動かさずにぶら下げた状態にし、冷やして落ち着かせます。
- 再発予防:
- 腕や手首を引っ張らない。
- 手をつなぐ際は手首や肘ではなく、下から支えるように。
- 約2週間は振り回したりしないように注意。
📌 まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
症状 | 腕をぶら下げたまま動かさず、肘を若干曲げている |
診断 | 整形外科・接骨院ので徒手整復(整復成功後すぐ回復) |
放置すると… | 痛みや不安が長引く、癒着して整復が難しくなる可能性も |
予防 | 手を引っ張らない、抱き方に注意、転倒時は脇下を支える |
もし「子供の腕が急に動かなくなった」「今にも泣き止みそうにない」などの緊急性を感じたら、速やかに整形外科や接骨院へ相談してください。整復は簡単で、安全かつすぐに回復できるため、早期対応が非常におすすめです。
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